飲む禁煙補助薬のチャンピックスは、アメリカで開発されたバレニクリンという成分の日本における商品名です。
具体的な作用機序は、神経性ニコチン受容体の一種であるα4β2receptorに特異的に結合することにより、少量のドーパミンを放出させて、タバコに対する切望感や禁煙に伴う禁断症状を軽くするという内容です。
つまり、禁煙に成功するためには絶対に超えなくてはならないハードルの高さ(禁断症状)をかなり低くできるということになります。

また、チャンピックスを服用してα4β2receptorにアプローチしている最中は、タバコを吸ってもニコチンが作用することが出来ません。
これは、チャンピックスが受容体に蓋をしているような状態になるからで、普通にタバコを吸った時のようにドーパミンが分泌されることがないからです。
このために、タバコを吸っても気持ちよくならないうえに満足感も得られないので、喫煙する必要がなくなり結果的に習慣性も抑制されます。

ちなみに、この様な効果を身体で覚えるために、チャンピックスの服用をスタートしてから1週間が経過するまでの間はタバコを吸っても構いません。
この期間に、タバコが不要なものであると認識することが、禁煙に成功するための重要なポイントです。

なお、チャンピックスによる禁煙治療はトータルで12週間が基本です。
本格的なスタートは2週目からで、1mg錠を1錠ずつ朝と晩の2回飲むということを続けていきます。
この間の費用に関しては健康保険が適用されるので、3割負担の場合は13,000円~20,000円程度の金額で済みます。

一方、失敗してしまった場合でも再チャレンジすることは可能ですが、初診日から1年間が経過するまでの間は健康保険は適用されないので全額自己負担となります。
この場合にかかる金額は、診察料・ニコチン依存症管理料・処方箋料を全て合計して63,500円と保険適用の3倍以上の数字となります。

いくつかデータがあるが、80%以上の方が禁煙に成功

チャンピックスによる禁煙は失敗するとお金がかかるので、出来れば一度で成功したいところです。
ちなみに、成功率に関してのデータは色々ありますが、中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証に係る特別調査によると、5回の禁煙治療を全部受けた人の約80%は終了後も4週間は禁煙を継続することが出来たと報告されています。

一方、チャンピックスの提供元のファイザー社のデータでは、12週間の治療が完了して4週間継続して禁煙できている割合は65.4%(プラセボ39.5%)、9週間~52週間継続して禁煙できているのは34.6%(プラセボ23.3%)と少し低くなっています。
ただし、1年後も約3人に1人は禁煙が続いているので、効果があるのは間違いありません。

ファイザー社では次の様な興味深いデータも公表しています。
それは、12週間の禁煙治療を最後まで完了した人が9か月後も引き続き継続している割合が49.1%なのに対して、初回でやめてしまった人はその7分の1未満の6.5%しか続いていないというものです。
チャンピックスを服用したことで効果を体感し、喫煙習慣から脱却できたと思っても時間が経過するごとに元の木阿弥に戻ってしまう確率は高くなるので、基本通りに12週間フルに治療を受けた方が良いということです。

なお、禁煙外来を最後まで受診する人の割合は全体の35.5%で、まずはこの中に入るように頑張るのが禁煙に成功するためのポイントとなります。
ちなみに、途中で止めてしまう理由として副作用が辛いということを多くの人が挙げています。

確かに主成分のバレニクリンには、不眠症や吐き気などの症状が出現する可能性があると報告されていますが、このような場合は自己判断で決めるのではなく、医師に相談するのが適当です。